配信でしか見ていない曲を生で見られたときのうれしさ。何よりも、俯瞰(ふかん)でパフォーマンスを見られたことがうれしかった。配信だとどうしても全体の動きが見えにくい。曲中の移動や、一人一人の細かいダンスの違いなどを目にして、初めて見る曲ではないのに初めて見たような気分になった。

MCで伊藤理々杏さんと矢久保美緒さんが「ファンの皆さんの拍手がうれしい」と言っていた。今回、コロナ禍の有観客ライブで使用されてきたスティックバルーンの配布がなく、代わりに聴こえてきたのは温かさを感じる音だった。そして終演後、その温かい音によって『北野日奈子 卒業コンサート』では、北野さんが再登場、『29thSGアンダーライブ』最終日には久しぶりのダブルアンコールが実現。ただ単に「ライブをまだ楽しみたい」という欲求をかなえるための拍手ではなく、北野さんとアンダーメンバーに“ありがとう”と伝えたい心の声が拍手になっていたことを、誰もが感じたはずだ。

ライブを見た感想は心にとどめず、オンラインイベントで声にしたり、ブログ・手紙・メッセージアプリを利用して文字にしたり、それぞれの方法で拍手を言葉に変えてメンバーに届けてもらえたら、それが彼女たちの力になることだろう。