2022-08-01 11:00

『逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白』著者・高橋ユキ氏「真意が伝わらないままなのは気の毒」

「逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白」著者・高橋ユキ氏
「逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白」著者・高橋ユキ氏

ブブカがゲキ推しする“読んでほしい本”、その著者にインタビューする当企画。第45回は、『逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白』の著者である高橋ユキ氏が登場。逃走犯の手記や現場取材をもとに世間を騒がせた彼ら――サイクリストに扮した全国一周逃走犯らのリアルを追い、浮かび上がらせる。なぜ彼らは逃げたのか!?

なぜ逃げるのか?

――目からウロコだったのが、「収容前の逃走は、刑法の逃走罪に適用されない」という点。逃走罪は、勾留されている者や禁錮・懲役刑の受刑者、あるいは身柄拘束のある令状の執行を受けている者などが逃げる――という具合に、条件があるとは知りませんでした。

高橋ユキ その人がどういう状態にあるかによって変わるんですよね。保釈保証金を払って、保釈中の人が逃走するケースは、逃走罪に問われません。なので、カルロス・ゴーンは保釈中に逃げているので、逃走罪には該当しない。つい最近も、勾留されていた被告人が病気だということで勾留執行停止になり、その間に逃げてしまった。結局、自分から出頭したんですけど、彼も逃走罪には問われない。

――まさに、「逃げるが勝ち」。そうならないために、逃げたら保釈金を没収する(逃げなければ保釈金は戻ってくる)といった抑止力が働くシステムがある、と。でも、問われないんだったらワンチャン狙いたくなる心理もわかるというか。

高橋ユキ ゴーンは、保釈保証金15億円を没収されるとわかっていても、ワンチャンを見出したんでしょうね(笑)。でも、基本的に被告人という立場は、まだ有罪か無罪か決まってない状況下にある。そのため、その時点で厳しく身柄を制限すること自体、いかがなものかという論調もあるんですよ。

――なるほど。高橋さんの前作、山口連続殺人放火事件を追った『つけびの村』も白眉でしたが、“逃走犯を追った今作もとても面白かったです。なぜ、逃げる犯人にフォーカスを当てようと?

高橋ユキ もともと『週刊ポスト』で、本書にも登場する松山刑務所逃走犯の手記を掲載するなど取材した記事を掲載していたんですね。その後、調査報道とノンフィクションの読み放題サービス「SlowNews」がローンチするということで、何か連載ができませんかというオファーをいただいて。本当は、つけびのときのように新たに自分で取材を重ねていくということがしたかったのですが、当時はコロナ禍の真っただ中。東京から地方に行くことそのものが事件になっちゃう(笑)。そこで、すでに自分が取材しているものから膨らませて……、松山刑務所逃走犯と富田林署逃走犯の取材をしていたので、脱走犯に焦点を当てて企画化したらどうだろうかと。

逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白
Amazonで購入

BUBKA(ブブカ) コラムパック 2022年9月号 [雑誌] Kindle版
Amazonで購入

BUBKA(ブブカ)コラムパック 2022年9月号
BUBKA(ブブカ)コラムパック 2022年9月号

Amazon Kindle

楽天Kobo

Apple Books

Google Play

紀伊國屋Kinoppy

BOOK☆WALKER

honto

セブンネットショッピング

DMM

ebookjapan

ブックパス

Reader Store

COCORO BOOKS

コミックシーモア

ブックライブ

dブック

ヨドバシ.com

その他、電子書籍サイトにて配信!

Twitterでシェア

関連記事

BUBKA RANKING23:30更新

  1. R-指定が語る、団地が生んだ「路上の詩人」O2
  2. 「ノイミー」永田詩央里のブログが良すぎる件
  3. 上出遼平インタビュー、読んだ人の目が丸くなる“ありえない”本書、スタイルは決まっているほど壊しやすい――
  4. 吉田豪インタビュー、岡崎体育『紅白』につながるならどんなことでもやる
  5. 船木誠勝「ガチンコでやれば八百長って言われなくなる 単純にそう思ってましたね」【UWF】
  6. 映画『アイアンクロー』公開記念、呪われた一家の生き証人が米国での生活を振り返る
  7. 乃木坂46 三番目の風、4番目の光に続く5番目は…
  8. Uインターの生き字引 鈴木健が語る 髙田延彦vs北尾光司戦の真実
  9. 乃木坂46筒井あやめ「お仕事で早退する時に『バイバーイ!』ってみんなが叫びながら見送ってくれるんです 『本当に良い人たちだな』と思って校門の前で泣いちゃいました」
  10. 吉田豪インタビュー、TOSHI-LOW 90年代、あの刹那の先にある今
  1. 乃木坂46弓木奈於『週刊少年マガジン』初登場!みんなが幸せになる笑顔のグラビアショット
  2. 渡邉美穂「応援してくださる皆さんが元気の源」オリジナルブランド『No.25』第二弾ディフューザー発売記念トークショー開催
  3. 私立恵比寿中学・風見和香「体育着を久しぶりに着られたのがすごくうれしくて」
  4. 「TWICE」MINA・SANA・MOMOのユニット『MISAMO』が出演するGoogleアプリ新CM放送開始
  5. “スターダスト”新世代ガールズグループの共演ライブ「Parallel World」開催
  6. 乃木坂46黒見明香さんが今季初“登板”、プロ顔負けの観察眼で大谷翔平選手&山本由伸投手を分析
  7. R-指定が語る、団地が生んだ「路上の詩人」O2
  8. 最新シングルセンターの正源司陽子、グループ内で一番好きだと断言する「呪術廻戦」のOPをソロ歌唱!好きな声優やアニメに興奮が止まらない
  9. WHITE SCORPION、9月にミニアルバム発売&ワンマンライブ開催決定
  10. 乃木坂46岡本姫奈、待望の初ソログラビア「最初は緊張…撮影は楽しめました!」