2022-12-05 06:00

すべての球団は消耗品である「#2 1988年の王巨人編」byプロ野球死亡遊戯

すべての球団は消耗品であるbyプロ野球死亡遊戯
すべての球団は消耗品であるbyプロ野球死亡遊戯

笑いと屈辱に満ちた暗黒期にスポットをあてたプロ野球ズンドコ戦記。勝っても、負けても、いつの時代もプロ野球球団はファンに猛スピードで消費されていく。黄金時代、暗黒期、泥沼から抜け出せない低迷期。ファンは、そして僕たちはいい時も悪いときもそんな刹那の瞬間に快楽を求めているのかもしれない。

“最後の聖戦”は受難続き

カネ余り、モノ余り、浅香唯。クイズ世界はSHOW by ショーバイ !! そんな1988(昭和63)年、俺らの人生の教科書『少年ジャンプ』はついに500万部を突破して、年間197本ものファミコンソフトが発売された。

ニッポンの好景気は異常なレベルにまで達し、巨人の超大物新助っ人ビル・ガリクソンも、ジャパンマネーに釣られて来日するなり秋葉原へダッシュ。マウンテンパーカーにヨレヨレの綿パン姿で、「子どものため」なんて言ってファミコンソフトを買い求めた。「スーパーマリオはアメリカにもあったぜ。オレは8面までクリアできたんだ」って完全に自分用じゃねえかガリー!大リーグ通算101勝、来日前年まで6年連続12勝以上の超大物は、あの昭和の怪物投手の穴を埋めるため東京へやって来た。

「そこに打てばなんとか投げ切ることができる。ただ、そこに打ってしまうと今年で終わってしまう。そういう決断を迫られた日があったんです」

一応断っておくと、これは『北斗の拳』のケンシロウの秘孔ではなく、江川卓が自身の右肩に打ったという中国針の話である。巨人のエースは、87年11月12日ホテルニューオータニの引退会見で涙ながらに“禁断の針”を語りユニフォームを脱いだ。わずか9年の現役生活。のちに鍼灸関係者から「そんな危険な場所はない」と抗議を受け、こっそり話盛りすぎを謝罪撤回したが、王巨人はその年13勝をあげた背番号30の代役探しに奔走することになる。そこでヤンキースとのガチンコマネーゲームを制して、年俸1億4300万円で獲得したのがファミコン大好きガリクソンである。88年は記念すべき東京ドーム開業元年ということもあり、日本一奪回が至上命題だった。

世界の王貞治は当時47歳。就任4年目で悲願の初Vを達成するも、日本シリーズで、西武ライオンズに野球の質の差を見せつけられ完敗。いわば、雪辱を期した監督5シーズン目を迎えていた。グアムキャンプでは、前年MVPの正捕手・山倉和博が発熱でリタイア第1号。結局、山倉はナマクラぶりを発揮して年間を通して故障に悩まされることになる。そんな、リーグ優勝したのに崖っぷちというなんだかよく分からない立ち位置の「1988年の王巨人」を支える若きエースは、もちろんハタチの桑田真澄である。オープン戦は4勝0敗の絶好調で、「ボクは、なにごとに対してもそうなんですが、ナチュラル。自然というのがモットーなんです。だから、化粧というのは、考えられませんね」なんて代名詞の1秒も笑えないマスミギャグを口にしたが、息子のMattが化粧水をプロデュースするのはその30数年後のことである。4月8日のヤクルト戦で球団史上最年少の開幕投手を務めるも、7回に味方守備が乱れ黒星スタート。その後、勝ち星から見放され、4月26日のヤクルト戦でようやく初勝利をあげるも、背番号18にとって苦難のシーズンの前兆だった。

対照的に抜群の開幕ダッシュを見せたのが、ガリクソンだ。東京・広尾の1カ月の家賃が100万円近いと知り、「クレイジー!なんでそんなに高いんだ!」と物価の高さにビビったガリーは、寿司や刺身の日本食にも果敢に挑戦するナイスガイだったが、ナゴヤ球場での試合前に青白い顔をして、ロッカー裏でしゃがみこんでしまう。「トイレ。ジャパニーズ・スタイルばっかりね。ボク、これだけはダメです……」なんつって大リーガーも和式便所にKO負け。なんとか球場内に洋式トイレを見つけて緊急事態は回避。連勝街道をひた走り、4月は4連勝で月間MVPを受賞する。神宮球場では、ルーキー長嶋一茂にプロ初アーチをプレゼントするおまけつきで、4月9勝8敗1分と波に乗り切れない王巨人の大黒柱となった。

――記事の続きは発売中の「BUBKA1月号」で!

中溝康隆=なかみぞ・やすたか(プロ野球死亡遊戯)|1979年、埼玉県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。ライター兼デザイナー。2010年10月より開設したブログ『プロ野球死亡遊戯』は現役選手の間でも話題に。『文春野球コラムペナントレース2017』では巨人担当として初代日本一に輝いた。ベストコラム集『プロ野球死亡遊戯』(文春文庫)、『原辰徳に憧れて-ビッグベイビーズのタツノリ30年愛-』(白夜書房)など著書多数。『プロ野球新世紀末ブルース平成プロ野球死亡遊戯』(ちくま文庫)が好評発売中!

「BUBKA1月号」コラムパック

Amazon Kindle

楽天Kobo

Apple Books

紀伊國屋Kinoppy

BOOK☆WALKER

honto

セブンネットショッピング

DMM

ebookjapan

ブックパス

Reader Store

COCORO BOOKS

コミックシーモア

ブックライブ

dブック

ヨドバシ.com

その他、電子書籍サイトにて配信!

BUBKA (ブブカ) 2023年 1月号
Amazonで購入

Twitterでシェア

関連記事

MAGAZINE&BOOKS

BUBKA RANKING17:30更新

  1. SKE48荒井優希&赤井沙希“令和のAA砲”、第10代プリンセスタッグ王座陥落
  2. SKE48荒井優希、山下実優選手とのシングルマッチ!試合に集中しメンバーの存在は「すっかり忘れていました」
  3. SKE48荒井優希、宮本もか選手とのタッグで準決勝進出「この勢いで次の試合でも頑張りたい」
  4. SKE48荒井優希選手が辰巳リカ選手とのシングルマッチで大熱戦
  5. 棚橋弘至、石田ゆり子を前に「最初は直視できないぐらい神々しくて…」
  6. SKE48荒井優希、人生初の“ビンタ”に気合!!久々のシングルマッチ決定に「自分のできることを全部出せたらベスト」
  7. SKE48荒井優希、初対戦のアジャコングに“一斗缶攻撃”も食らい完敗
  8. SKE48荒井優希選手、“サソリ固め”を初公開も
  9. NMB48川上千尋「阪神タイガース愛」を熱弁
  10. SKE48荒井優希&宮本もか“もかゆき”コンビ、決勝戦進出ならず
  1. 吉田豪新連載「what’s 豪ing on」Vol.2 向井秀徳
  2. AKB48“17期研究生”山﨑空&水島美結、2回目のランウェイに緊張も「お洋服の良さを伝えることができた」
  3. SKE48北野瑠華、新企画提案に「面白そう! やりたいです」
  4. 乃木坂46“おとな選抜”新WEB動画公開!秋元真夏がお家飲みを楽しむ様子も
  5. 乃木坂46山下美月、ファッションブランド「RESEXXY」ブランドモデルに就任
  6. AKB48水島美結×佐藤綺星×橋本恵理子…新生三銃士揃い踏み!17期生の次世代トライアングルが見せる希望
  7. 日向坂46丹生明里、表紙&巻頭グラビアを飾る「記念すべき特別な号で本当に光栄です」
  8. 乃木坂46田村真佑「すっごく寂しいです」、『レコメン!』卒業を語る
  9. NMB48安部若菜1st写真集発売決定「水着の撮影は1年ぶりで恥ずかしさも…」元気な表情からセクシーで大人っぽい姿まで
  10. =LOVE野口衣織「最初の頃は慎重すぎた」、表題曲初センターを振り返る