日向坂46の10thシングルのカップリング曲『ガラス窓が汚れてる』で自身初の全員参加楽曲のセンターを務める河田陽菜。日々、マイペースな性格でおひさまに癒やしを届ける彼女が前向きに歩みを進めた先の到達点。ステージの中央を飾るこの瞬間の、飾らない言葉の数々をお楽しみください。

キツネが育てた少女

――河田さんは今回のシングル『Am I ready？』のカップリング曲『ガラス窓が汚れてる』で、初めてセンターを務めています。

河田陽菜　今までは小坂(菜緒)がお休み中、代理でセンターに立たせていただくことはあったんですけど、全員参加の新曲ではこれが初めてだったので、すごくドキドキして。曲調も可愛いっていうよりは真逆の、心の中のモヤモヤを描いたような楽曲なんです。

――普段の河田さんのイメージからすると、曲調的にはちょっと意外ですよね。

河田陽菜　多分ファンの皆さんから見たら、そういうイメージがなさそうだなと思うんです。なので、この曲を通してギャップを見せられたらいいなと。可愛い楽曲ももちろん好きなんですけど、こういう強いメッセージ性のある曲も自分は好きなので、今回この曲のセンターをやらせていただけることは嬉しくもありました。

――ちなみに、河田さんは今までセンターをやってみたいと思ったことはありますか？

河田陽菜　加入前はアイドルに対してキラキラしているイメージを持っていて、「ああ、私もセンターに立ってみたいな」という気持ちはあったんですけど、加入してからはうまくダンスが踊れなかったり、自分が思うようにできないと思うことが増えて自信をなくしてしまって。それからは立ちたいと思ったことがないんです。でも、ファンの皆さんは「センターをやってほしい」とミーグリでたくさん伝えてくださるんですが、それに対してなんて答えればいいのかわからなくて。自分ではふさわしいとは思わないし、できるっていう自信もないので、「ありがとう、頑張るね」と返答しているんです。だけど、今回こういう楽曲でセンターをやらせていただくことで、ファンの皆さんも喜んでくださるといいなと思っています。でも……正直不安です(笑)。

――このインタビュー時点では楽曲やMVも公開前ですから、そりゃそうですよね。個人的には、小坂さんがお休みしている間に『キツネ』で代理センターを務めた河田さんを見て、すごくカッコいいなと思っていたんです。あの経験は、河田さんにとっても大きかったんじゃないでしょうか？

河田陽菜　初めて『キツネ』の代理をやらせていただいたのは、結構前(2019年)の「＠JAM」だったんですが、そのときは軽い気持ちで「あ、わかりました」と引き受けたんです。でも、そのあとに小坂が休業して、ツアーとかでも『キツネ』を披露する機会が増えていって、やればやるほど「難しいな……」と思うようになってしまって。小坂とか今までセンターに立ってきた人って、何気なくやっているように見えるけど、実はすごいんだなと心から思って、どんどん不安になってしまいました。

――実は、その「＠JAM」を会場で観ているんですよ。

河田陽菜　あ、本当ですか？

――それこそ、丹生(明里)さんが『ドレミソラシド』でセンターに立ったりと、日向坂46としてデビューまもないタイミングにいろんな方々が代理センターを務めていたので、すごく新鮮でした。河田さんは『キツネ』を披露すればするほど難しいと感じたとおっしゃいますが、特に昨年の東京ドームあたりのパフォーマンスは堂々としていて、すごく惹きつけられたんです。難しいと感じていた時期と比べて、最近は心境的に変化があったんじゃないでしょうか？

河田陽菜　その頃からめっちゃ元気になりましたし、明るくなったなと自分でも思っていて。昔は楽屋でもひとりでいることが多かったんですけど、今はずっとメンバーと話したりと、逆にひとりでいるほうが少ないぐらい。毎日が楽しいなって、昔よりも感じる機会が増えました。本当にここ1年ぐらいのことなんです。

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取材・文／西廣智一

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