宇多丸×R-指定、“キング オブ MC ”のつくり方

Rの異常な愛情─或る男の日本語ラップについての妄想

R-指定とゆかりのあるアーティストをお招きしてお送りする『新・Rの異常な愛情』。今回は2月16日に日本武道館公演を控えるRHYMESTERから宇多丸師匠をお迎えして、ライブ論を中心にR-指定さんと激論を展開します!

泥水を美味しく啜るイズム

――RHYMESTERは2月16日に日本武道館公演を、Creepy Nutsは3月からツアー「Creepy Nuts ONEMAN TOUR 2024」を控えるということで、今回は「ライブ」をテーマに対談を行えればと思っております。

宇多丸 でも、Rの前で武道館の話なんて恥ずかしいですよ。

R-指定 何をおっしゃいますか(笑)。

宇多丸 だってCreepyで何回やってるの?

R-指定 単独では2公演3回ですね。

宇多丸 今どきの若いやつは簡単に武道館やりやがってよぉ!

――どういうタイプの怒りですか(笑)。でも確かに、07年のRHYMESTER武道館、08年のZeebra武道館は、シーンの悲願感がありましたね。

宇多丸 一生に一度のつもりでやってたし、重かったんだよね。だからCreepy だけじゃないけど、他のアーティストの武道館は軽い!……っつってね(笑)。でも次のRHYMESTERの武道館は、前みたいな悲壮感はないですよ。

R-指定 悲壮感だったんですか、あれは(笑)。

宇多丸 活動休止とか「やめるやめる詐欺」してようやくだから(笑)。でも今回は、前回のようにいろんなゲストが登場しても、それが「集!大!成!」みたいな重い感じより、「人間交差点」みたいに「みんなで集まって大団円! イエー!」みたいな感じになるのかな。今のツアーで一緒に回ってるReiちゃんやハイパヨ(hy4_4yh)とのセッションも含めて、面白いものが見せられると思う。あと岡村(靖幸)ちゃんが「コントやりたい」とか言いだしてる。

R-指定 ハッハッハ。どんなゲストですか(笑)。

宇多丸 「ズルいじゃないですか! 自分のライブではMC一切入れないのに、人のライブではコントやるんですか?」って言ったら「まあ、自分のライブはやっぱりカリスマ性っていうのがありますから」と。

――岡村ちゃんらしい! どうなるかが楽しみすぎですね(笑)。

宇多丸 あ、でもさすがにコントやってる時間はないです! ただでさえセットリストがパンパンで、入りきらなくなってきてますから。アルバム曲は当然やらなきゃだけどRHYMESTERクラシックの数々はどうするのよ、みたいな悩みもあったり。あんまりその比重が大きくても重くなっちゃうしさ。

R-指定 でも俺たちは――俺と松永ですけど(笑)――重たいのが大好きですからね。RHYMESTERって「重た……」じゃなくて「重たーーい!」なんですよ。

宇多丸 それ、言い方じゃん(笑)。

R-指定 中身がぐっと詰まった感じがやっぱ嬉しいし、それがRHYMESTERに感じる「重たーーい!」(笑)。前回は4時間超えでしたよね。

宇多丸 長すぎたよね。電撃ネットワークのギュウゾウさんをはじめ、観に来た人の感想がみんな「長い!」だった(笑)。当時は落とす曲がないし、足し算ばっかりだから、構成としてゆとりもなかったしさ。だから、再開後の“ちょうどいい”とかは、完全にそれを意識して作ってるんだよね。

R-指定 ライブ構成のテンションにゆとりを生む曲というか。

宇多丸 そうそう。

R-指定 それこそ結成当時のCreepyは、RHYMESTERの武道館のDVDを松永と一緒に見て、「こういう構成のライブをしたいから、こういう曲を作ろうぜ」みたいな話をしてたし、これからの活動の青写真を武道館のライブDVDを見ながらイメージしてたんですよね。だから07年のRHYMESTER武道館は、かなりCreepyへの影響が大きいんです。ラジオ「WANTED!月曜日RHYMESTER」の中でも、過去にライブで感じた泥水話とかをされてたじゃないですか。

宇多丸 はいはい。

R-指定 俺らも結成当時は泥水を啜るようなライブがあったんですけど、それを結構楽しめたのは、RHYMESTERがそれを面白く変換して話してくれてたからなんですよね。

宇多丸 後にエピソードになるしね。

R-指定 今でも変わらない「アウェイをホームに変えていく楽しみ」「ヒップホップの旨みを見せたれイズム」みたいなのは、RHYMESTERに芯から影響されてる部分。初期のライブでフリースタイルしまくってたのも、お客さんにそういう部分を見せたかったからやし。

聞き手・構成/ 高木“JET”晋一郎

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宇多丸(ライムスター)プロフィール

1969年東京都生まれ。ヒップホップ・グループ「ライムスター」のラッパーで、TBSラジオ(月~木)の22時から生放送されている、ワイド番組『アフター6ジャンクション 2』を担当するラジオパーソナリティ。アルバム『Open The Window』(ビルボード8位, オリコン13位)の全国リリースツアー開催中で、2月16日(金)日本武道館公演が決定している。

R-指定プロフィール

1991年、大阪府出身。Creepy Nuts、梅田サイファーのMCとして活躍中。バトルMCとしても、2012年からの「UMB」3連覇をはじめ、テレビ朝日『フリースタイルダンジョン』での2代目ラスボスなど、名実ともに「日本一」の実績を誇っている。

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巻頭特集
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グラビア&ロングインタビュー「PRETTY IN PINK」

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「REPLAY」

◯上西怜(NMB48)グラビア&インタビュー
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特別企画・スタプラの逆襲SP
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真山りか×安本彩花インタビュー
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グラビア・インタビュー特集
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vol.06塩釜菜那(僕が見たかった青空)
「リーダーの素質」

・安納蒼衣×西森杏弥(僕が見たかった青空)インタビュー
「弱い気持ち・強い偏愛」

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「Iのソナタ」

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「今輝く、王道の到達点」

・「GIRLS IDOL Fashion Snap」Produced byチェキチャ!

スペシャル記事
・吉田豪インタビュー「What’s 豪ing On」
第十三回 小山田圭吾
「コーネリアスの夜明け、そして現在」

・『Rの異常な愛情』特別インタビュー
宇多丸×R-指定
「“キング オブ MC”のつくり方」前編

・ダースレイダー インタビュー
「レペゼン“病気”で覚醒! ダース式『イル・コミュニケーション』」

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「赤味噌が語る『立浪中日冬の陣』」

・『玉袋筋太郎の闘魂伝承座談会』
発売記念対談 第2回
宮戸優光×鈴川真一「リアル“闘魂”スタイルの掟」

BUBKAレポート
・Book Return
第63回 鈴木おさむ
「仕事の辞め方」

・すべての球団は消耗品であるbyプロ野球死亡遊戯
#16「1991年の金田ロッテ」

・アイドルクリエイターズファイル
#37 原田茂幸

・宇多丸のマブ論

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