2024-05-04 10:00

吉田豪インタビュー、岡崎体育『紅白』につながるならどんなことでもやる

自身のプロデュースや目標を語ってくれた岡崎体育
自身のプロデュースや目標を語ってくれた岡崎体育
撮影/河西遼
この記事の画像(2枚)

吉田豪が岡崎体育にインタビューを実施。抜群の作曲センスで音楽アーティストとしてさいたまスーパーアリーナにも立ち、ドラマなどにも出演、そしてSNSも盛り上げる彼の真髄に迫った。

火の点け方を学んだ

―― 岡崎さんには感謝の気持ちがまずあるというか、私立恵比寿中学に提供してくれた楽曲『サドンデス』(注1)が本当に素晴らしかったじゃないですか。

岡崎体育 ありがとうございます!

――ネタと泣きのバランスがまた絶妙で。

岡崎体育 そうですね、あとマイナーチェンジが利くので、ライブによって誰がダンスサドンデスで勝ち残るかも変えられるから、ファンの人も楽しんでくれてる実感はありますね。

――でも、メンバーの増減に合わせて歌詞もいろいろ変えなきゃいけない問題もあって。

岡崎体育 そうですね、「残り何名」っていう声とかもいまだに録り直したりするんで、その分のギャラは欲しいなとは思ってますけど。

――ダハハハハ! そこは変わらず(笑)。

岡崎体育 変わらず無償で提供してます。

―― 最近の岡崎さんでまず気になったのが、次のツアー(注2)のチケットは売れつつあります?

岡崎体育 ちょっとずつではあるんですけど。まあちょっとずつ売れてはいますね。SNSで「チケットが売れてない」と言うことでファンの人以外でも気になってる感じの人はいるので、その人の背中を押すためにもチマチマ誘導した結果、徐々には伸びてきてますね。

――ホントに画期的だと思うんですよ、ああいう無茶苦茶かつ自発的な話題作り(笑)。

岡崎体育 ハハハハ! そうですね。

―― チケットが全然売れてないと勝手に騒ぎ立てることで宣伝にしていくわけですよね。

岡崎体育 キャラクター的にふつうのアーティストができないことができるので、いまの自分の立ち位置を客観的に見ながらどう動くのが一番有効的かなっていうのは考えてますね。

―― 音楽不況で宣伝費があまりかけられなくなった時代に、こうやって無理やりネットニュースにしていくのはさすがだなと思って。

岡崎体育 そこですね。レコード会社も頑張って宣伝してくれてるんですけど、そこだけでは伸びない部分はアーティストが補っていかなきゃいけない時代だし、曲作りとかライブの準備に集中できるのが一番いいんですけど、券売的にもパンパンの状態でライブできたほうが精神衛生的にもいいので。

――ちゃんとニュースになりましたからね。

岡崎体育 ありがたいです、ホントに。ニュースにしてもらうとそれだけ人の目につくので。

―― 岡崎体育似の男とお見合いをさせられたって女性のツイートをわざわざ拾って、「見た目のことですぐこうやって尊厳のない扱われ方するけど、元気にチケット売ってますんで皆さんライブ遊びに来てください!」って宣伝に持っていくのもどうかしてましたね。

岡崎体育 去年も「1000円カットで変な髪型になった」っていうのがニュースになったんですよ。ちょうどあのときもチケット売れてない時期で、その髪型見たさにチケットを買ってくれた人もやっぱりいて。

――変な髪型新規が!

岡崎体育 そう、髪型新規がいたんで。捉えようによっては燃えてるように見えてるかもしれないけど、使えるものはなんでも使うぞって気持ちでやってますね。もう慣れっこっちゃ慣れっこなんで。だから炎上してるつもりは全然なかったし、周りが勝手に燃えてるだけのように自分は感じてますけどね。

――ちゃんとした炎上はほぼないですよね。ファンクラブにポイント制を導入しようとして騒動になったときぐらいって認識です。

岡崎体育 そうです、それくらいですかね。いろいろ渦中にいるときの立ち回りはこの業界に入っていろいろ学んだので、そこまでめちゃくちゃヘマすることはないかなと思います。

――そういうSNSの使い方も含めて、ものすごく戦略的な人っていう印象があって。でも今回、いろんな記事を掘りまくってみた結果、戦略的なのは事実だけどそれだけじゃないというか。ただクレバーにうまくやってる人っていうわけではなくて、ものすごく悩んでもいると思いました。

岡崎体育 それはありますね。戦略的にやるだけではミュージシャンが持つ宗教性みたいなものって生まれにくいし、どうしてもファンの人もそこに気づきが生まれてくると思うので、どこかしら自分のアイデンティティというか、泥くさいところも出していってバランスを取るじゃないですけど、アーティスト・岡崎体育としての業界での立ち回りみたいなものは客観視しながら動いてますね。

――そこなんですよ。インタビューを読んで思ったのが客観視しすぎなんです(笑)。

岡崎体育 ハハハハハ! アーティストとしての自覚が限りなく少ないというか。自分のことをそんな高尚なものだと思ってないのでアーティストを気取ることもないし、単純に音楽は自分の自己肯定感を高めるためだけにやってることなので。でも、A&Rとかもやってみたいなと思ったりするので、自分だけじゃなくて誰かのプロデュースだったりディレクションにも興味があるし、将来的にはそういうのも見据えていきたいなと思ってます。

――実際、自分という素材でこれくらいまで結果を出したのは十分な実績ですからね。

岡崎体育 そうですね、ビジュアルがいいわけでもないし歌唱力が高いわけでもないんですけど、現状で満足いくセールスは出せてるので自信にはつながってますね。

――その客観性ですよね。日本もだいぶルッキズム的なものに対して批判的になってきて世の中変わってきたとは思うんですけど、音楽の世界にはまだ相当残ってると思ってて。

岡崎体育 そうですね、やっぱりみんなもきれいなもの、美しいものを見たいし、そういうものに偶像性が出てくるのは昔から変わらないことなので。もちろん音楽やるうえでビジュアルとか見た目がいいほうが有利なこともたしかなんですけど、そこを求めてない畑の人もいるわけで。そういう人たちをターゲットに自分が食っていければなと思ってます。

――最初から自分という素材でどう戦うかを考えてたわけですよね。ルックスでアドバンテージが持てないなかでの戦略を考えて。

岡崎体育 そうですね、そのことは岡田斗司夫(注3)さんにも言われました。

――ダハハハハ! とりあえず岡田斗司夫には言われたくないですよね(笑)。

岡崎体育 ハハハハハ! でも、「ビジュアルないなかでようやってるな」っていう感じで誉めてもらえたのでうれしかったです。

――就職して即退職したりで、27歳までにメジャーデビューするという期限が限られてたから策を練るしかなかったという話はよくされてますど、そこでまず考えたのがバズることで。

岡崎体育 デビューするにあたってインディーズのときにライブハウスでやってた曲を詰め込んだアルバムを名刺代わりにソニーからデビューという形だったんですけど、インパクトがもうちょっと欲しかったし、既存曲だけだったら新しいファンの人もつかないかもしれないし、インディーズ時代に応援してくれてた人にも全部聴いたことあるなって思われるのは嫌やったんで。そのときに作ったのが『MUSIC VIDEO』(注4)って曲だったんです。

――МVあるあるを歌詞でも映像でも再現しまくって、いきなり話題になりました。

岡崎体育 すごい批判性が高いし、揶揄してるように受け取られましたけど、単純にひとつの作品として納得いくものができたので、周りの反響も含め自分の満足度も含め、あれはいい出し方だったなとは思ってますね。

――ただし、予想以上にバズッた結果、ある種の縛りも出てくるわけじゃないですか。

岡崎体育 そうですね、その後1〜2年は「あるあるで何かひと言お願いします」とか。

――RG(注5)みたいな扱いになって(笑)。

岡崎体育 はい、それは多かったですね。もちろんそこは仕方ないことだと思うし、割り切ってやってはいましたけど。それに嫌気がさしてたのは事実だったんで、早く二発目三発目を当てられたらなとは思ってましたね。

――どのレベルまでイジッていいかとか考えました? 要は悪意の匙加減というか。

岡崎体育 考えましたね。固有名詞は出さないっていうひとつのルールはちゃんと設けて。それが回避法というか、あきらかにこれをオマージュしてるなっていうのはわかるけど、「いやべつに言ってないですけどね」っていう逃げ道も作って。でも、そうやっていくなかで、固有名詞が出てきたほうが漫才とかでもおもしろいし、それは間違いないことなんですけど、そうじゃなくてフワッとしたもので笑いを取れたりウケたりするのはそこの縛りからいろいろ生まれたものでもあるし。それを考えてるときは楽しかったです。

――その後、共演できなくなるような人がいきなり増えても困るし、イジられてる側がおもしろがってくれる匙加減を考えながら。

岡崎体育 たしかに。最初の頃は特定の人というか、「これのオマージュやろ!」って呼ばれた先の人がすごい怒ってたり、それで燃えてたときもあって。こうするとその界隈のファンの人って怒るんだなとか、火ってこういうふうに点いちゃうんだなってこの8年間で学んできたし、さっき豪さんがおっしゃったように、いまは変な燃え方はしてないんで。

取材・文/吉田豪

岡崎体育プロフィール

1989年、京都府宇治市育ち。2016年4月公開の『MUSIC VIDEO』のMVが大きな話題を呼び、同年5月にメジャーデビューアルバム『BASIN TECHNO』をリリース。19年にはさいたまスーパーアリーナで単独コンサートを行う。CMやドラマ、映画出演などマルチな活動な活動をしている。最新EP『Suplex』を24年3月に配信。「岡崎体育 Zepp Tour 2024」開催中(チケットぴあ、イープラス、ローソンチケットにて、チケット一般発売中)。

記事注釈

(注1)~(注5)

(注1) 2016年リリースの私立恵比寿中学ベストアルバム『「中辛」~エビ中のワクワクベスト~』に収録。18年リリースの岡崎のタイアップ集『OTWORKS』にカバーが収録。

(注2) 4月14日の横浜公演を皮切りに始まった「岡崎体育 Zepp Tour 2024」。

(注3) 58年生まれのプロデューサー、評論家。84年にアニメ制作会社ガイナックスを設立した一人。通称「オタキング」。

(注4) 16年4月にMVを公開。監督・撮影・編集・照明・振付を寿司くん(ヤバTのこやまたくや)が務める。1stアルバム『BASIN TECHNO』に収録。

(注5) 74年生まれのお笑いタレント。HGとともに97年にレイザーラモンを結成。「◯◯あるある」のほかに、ものまねレパートリーも豊富。

(左)岡崎体育×(右)吉田豪
(左)岡崎体育×(右)吉田豪
写真/河西遼

Twitterでシェア

関連記事

BUBKA RANKING5:30更新

  1. ルルネージュ池田杏菜が明かす酔いどれ事件簿【BUBKAアワード】
  2. R-指定(Creepy Nuts)が語るスチャダラパーの時代
  3. NZA(永野)×D.O、楽しむという鎖に繋がれた異端児が再び交わる、白昼堂々130分!
  4. 乃木坂46齋藤飛鳥&星野みなみ「断られると思うけど飛鳥と二人旅に行きたい!」
  5. 【BUBKA2月号】栗栖正伸、イス大王が語る遅咲きヒールとしての苦節50年
  6. 宮戸優光「前田さんとの関係が、第三者の焚きつけのようなかたちで壊されてしまったのは、悲しいことですよ」【UWF】
  7. 日向坂46高瀬愛奈×富田鈴花、先輩後輩を超えた“ 推し”対談【BUBKA12月号】
  8. 乃木坂46弓木奈於、B級ニュースで話題の“ナカジマさん”「ナカジマさんっていう名前じゃなかった」
  9. 佐々木チワワ氏が説く“歌舞伎町のリアル社会学”
  10. 乃木坂46遠藤さくら「コントで恥を捨てられるようになったことはライブや歌番組での表現に活かせると思います」
  1. 公式お兄ちゃんは忘れない‼バナナマンからの「卒業おめでとう」に乃木坂46・阪口は感謝のメッセージ
  2. 声優・青山なぎさ、ヘルシーな肩見せ姿…『週刊FLASH』アザーカット公開
  3. 乃木坂46・久保史緒里が推し球団・楽天の歴史的大敗で大荒れ!怒りの矛先は独走する若鷹軍団リスナーに!?
  4. 乃木坂46阪口珠美、2023年は“ご縁”の年「人生で初めて歴史の勉強をしています」
  5. 乃木坂46からの卒業を発表した阪口珠美の愛され力!1st写真集を後輩・小川彩は「表紙替えの写真集4パターンすべてを予約してくれた!」
  6. 小鳥遊そら(CRAYONS)、練習の成果を存分に発揮!清らかな歌声で2回目の定期公演を完遂
  7. 櫻坂46的野美青、フレッシュ&ビューティーなグラビアショット「普段とは少し違った私、どうでしたか?」
  8. 渡邉美穂オリジナルブランド『No.25』第二弾発売記念グッズがオンラインで販売決定
  9. バナナマン・日村勇紀のマイブームに設楽統は「長州力じゃん!」
  10. 櫻坂46山下瞳月、9thシングル『自業自得』センターに決定「三期生だからって甘えずに、櫻坂46の名に恥じないように」