マカロニえんぴつ・はっとり「『トゥルットゥール』を担当してる方、誰ですか?」<私立恵比寿中学の音楽のすべて>

エビ中の佇まい

――タイトルが『愛のレンタル』で、歌詞には〈愛の貸し借り〉というフレーズがあったり、女性アイドルグループの楽曲としては刺激的だなと思います。メンバーの真山りかさんは当初、「『愛のレンタル』? 愛って貸し借りするものなの?」という思いを巡らせたそうです。

はっとり 本当は、そうであってはいけないんですけどね。そもそもは、無償で与え合うものが愛の大きな形だと思うんですけど、だからこのタイトルからはちょっとした矛盾を感じるんですよ。愛という無償のものに、レンタルという言葉がつながっている。でも、愛ってある種の契約に近い面もあるじゃないですか。愛が相手を縛る要因になったり、利害関係にも近いというか、そこに愛の違和感がある。でも、僕はものすごく気をつけていないと、普通はそういう感覚で愛を求めたり、与えたりしてしまいがちだなと思うんですよ。「あれだけ尽くしたのにな」って、ぽろっと愚痴が出るときってあるじゃないですか。その時点で、もうレンタル感覚なんですよね。「貸してんだから返してよ」、「与えてんだからちょうだいよ」っていう。僕は、そういう愛の側面をリアルとして描きたかったっていう感覚はあります。

――それをアイドルグループのエビ中が歌うことで、非常に刺さるものがある楽曲になっているという。

はっとり エビ中だったらありかなって、そんな感じがしたんですよ。ほかの曲を聴いても「アイドルがこれ歌うんだ」みたいな曲があって、上辺ではない感じがしたんですね。服や皮膚でなく、骨って感じがしたんです。真髄を歌おうとしてる人たちだなっていうか。過去に関わったソングライターの方々が、そういうふうにエビ中を育てていったという見方もできるんですけど、そもそも本人たちに似合っていないと、そういった佇まいにはなりませんから。だから、きっとそういう真髄を歌おうとすることが似合うグループなんだろうなって。そう感じたので、あえてアイドルっぽくない、ちょっとドロッとした部分、『曇天』のような感情のちょっと醜い部分だったり、ずるい部分だったり、そういうものをマカロニえんぴつで曲を書くときと同じように書いても、これはハマるだろうと。その上で、化学反応が起きてくれるだろうと思ったので、ちょっと醜い部分っていうのは意識しましたね。

――YouTubeの公式チャンネルでは、『愛のレンタル』のライブ映像がアップされています。

はっとり 観ました。歌にばっかり圧倒されてましたけど、そうか踊りながらやってんだってことで、あらためてすごいなと思いましたね。みなさん、常に動いてるじゃないですか。それでピッチがすごく安定してたので。あとは、あの「トゥルットゥール」を担当してる方、誰ですか? 「トゥルットゥール」の人! すっごくいい顔で歌う人!

――中山莉子さんですね。

はっとり 中山さん! 推しですね、僕。あの「トゥルットゥール」がすっごい良かったんですよ。俺と近いタイプの顔で訴えて歌うタイプのシンガーで、すっごく好感が持てました。涼しい顔なんてしないんですよ。声を張るときは、ぐわっと眉間にシワが寄るんですよ。俺と一緒なんですよ。俺、自分で『愛のレンタル』を歌うときも、「トゥルットゥール」は中山さんを意識してますから。そこで一番気合い入れるぞっていう。生半可な「トゥルットゥール」をしたら、ラスサビが全部ダメになると思って歌っています。

――インタビューの続きは発売中の「BUBKA6月号」で!

取材・文/大久保和則

はっとり|1993年6月29日生まれ、山梨県出身。メンバー全員が音大出身の次世代ロックバンド・マカロニえんぴつのギター&ボーカル。デジタルシングル『星が泳ぐ』を配信リリース中。さらに、全国ライブツアー「マカロックツアーvol.13 ~なんたって10周年ツアーだゼ? 9公演追加しました篇~」の開催が決定している。また、過去最大スケールとなるさいたまスーパーアリーナ2デイズを含む、全国14都市、19公演にて開催予定のツアー「マカロックツアーvol.14 ~10周年締めくくり秋・冬ツアー☆飽きがくる程そばにいて篇~」も実施予定。

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