辺境ノンフィクション作家・高野秀行氏が明かす語学習得法

「言語のノリ」

――その法則の発見方法も書かれているから面白い。ところで、先ほどコロナで2年ほど海外に行けなかったと仰っていましたが、最後に訪れた海外ってどこだったのでしょう?

高野秀行 今年に入ってから、タイとイラクに行ったのですが、コロナ前となるとイラクですね。『オール讀物』の「イラク水滸伝」という連載で、イラクに行って取材をしていたのですが、3回目の取材へ行こうとしたら、コロナになってビザが下りなくなっちゃった。

――イラクはアラビア語ですか?

高野秀行 そうです。取材するにあたって、日本に住むイラク人から、アラビア語のイラク方言を教えてもらっていたんですよね。

――やっぱり「ネイティブに習う」なんですね(笑)。

高野秀行 僕にはその方が合う(笑)。ただ、何しろ記憶力が衰えている。3年前に1年ぐらい習っていたんですけど、コロナになってからいつ行けるかわからない状況になってしまった。行くと決まっていれば復習するけど、いつ行けるかわからないとモチベーションが下がっちゃって。あと、現地に英語をものすごく流暢に話すパートナーがいて、その人を介せばすべて通訳できるので必要ないなって。それであまり勉強もせずに、今年、3年ぶりにイラクへ行ったんですけど、そのパートナーが病気で入院してしまって。突然、僕のしょぼいアラビア語イラク方言のみですべての取材をやらなきゃいけなくなった。無理ゲーですよね(笑)。

――高野作品を読んでいる身からすると、「待ってました!」的な展開に思えてしまいます(笑)。

高野秀行 絶望的な気持ちもあるけども、3割くらいは「ちょっと面白いな」という展開ですよね。語学って、いかにモチベーションを持つかに尽きると思います。強制的にやらされても身に付きづらい。すべてのことに言えると思いますが、特に語学はそうで、漠然とやるのは難しい。例えばスペイン語を覚えるなら、スペイン料理が好きでスペインのバルに行ってみたいとか、どんな目的でもいいんですよ。目的があったら、そこを中心に単語や表現を覚えていけばいい。目的の半径5mぐらいの動詞や単語を集中的に覚えれば何とかなる。語学が得意という人は、半径100mぐらいをカバーできるかもしれないけど、苦手な人や歳を重ねた人には荷が重すぎる(笑)。手の届かない遠くに来たボールを取ろうとしても無理。自分の目の前に来たボールだけ受け取って、パスができるようになればいいんですよ。

取材・文=我妻弘崇

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高野秀行=たかの・ひでゆき|1966年、東京都生まれ。ノンフィクション作家。ポリシーは「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、誰も書かない本を書く」。『ワセダ三畳青春記』で酒飲み書店員大賞を、『謎の独立国家ソマリランド』で講談社ノンフィクション賞等を受賞。『アヘン王国潜入記 』、『西南シルクロードは密林に消える』など著書多数。

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