Creepy Nuts・R-指定「DABOさんのラップはスムースやし、滑らかすぎるから、凄さを見逃しちゃうんですけど、分析するととんでもないライミングなんですよね」

R-指定(Creepy Nuts)
写真/河西遼

Creepy NutsのMCとして活躍するR-指定によるイベント『Rの異常な愛情』。約10カ月ぶりの開催で扱うテーマは「DABO」。NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDの一員として、そしてソロMCとしても旋風を巻き起こしてきた最強ラッパーについて語り尽くします! 中編は今回のイベントのメインである1stアルバム『PLATINUM TONGUE』本編についてです!

DABOの革命前夜(中編) 新しいシーンの幕開け

和製『Illmatic』

――中編では『Platinum Tongue』本編の解説に入っていきましょう。このアルバムはUSのヒップホップのトップレーベル「DEFJAM」が、その日本支部として「DEF JAM JAPAN」を立ち上げて、そことソロ契約第一号を結んでリリースされたんだよね。それはとんでもない称号だったし、REDMANとの2マンライブも行われたり、その期待度は尋常じゃなかった。

R-指定 だからアルバムのトラックメイカーも敏腕揃いなんですよね。それこそDJ CELORYさんやLAMP EYEのDJ YASさん、MASTERKEYさん、MUMMY‐Dさん、D.O.Iさん、CQさん……。

――そしてMACKA-CHINさん、DJ WATARAIさん、DJ HAZIMEさん、Mr.ITAGAKIさんという宇田川のイツメン勢。意外にも海外勢はP.KINGだけなのも興味深い。時代的にも、海外のトッププロデューサーのトラックを、言い方は悪いけど買い付けて箔をつけるということも考えられる。でもそれをしないで、このクオリティを出したことは、日本のシーンが一段階変わった象徴とも言える。

R-指定 その成り立ちがNasの『Illmatic』に近いなと思ってたんですけど、インタビューでDABOさんも言ってるんですよね。「『Illmatic』を作ろうとした」「『Illmatic』を作ってくれって周りから言われてた」と。

――Nasの『Illmatic』は、当時のNYの超一線級のトラックメイカーが横断的にこぞって参加したんだけど、『Platinum Tongue』も同じ傾向がある。当時は宇田川系ならMUROさん、FG系はDさん、UBGならINOVADERさんみたいに、プロデューサーの人選に関係性が反映されがちだったけど、DABOさんの場合は東京シーン全体のトッププロデューサーが参加してて、それも『Illmatic』に近いよね。

R-指定 そこからもいかに期待されてたかが伺えますよね。では本編の話に入りましょうか。まずはD.O.Iさんプロデュースの“Platinumintro”。

――この曲は〈new generation begin〉、つまり「新しい世代の始まり」っていう宣言から始まるんだけど、それって「今までのシーンは旧世代」ということと同義だから、かなり気合いの必要な発言だよね。Rくんだったらデビューする時に言える?

R-指定 俺はちょっとそのタマじゃないですね(笑)。DABOさんのアルバムってイントロからオモロイんですよ。『HITMAN』の“HITMANのテーマ”は、ヒットマンの足音がコツコツ聞こえて銃声が鳴るとか、『DIAMOND』のイントロの“多面体”は、HAZIMEさんがDABOさんの別名、二つ名をずっと叫んでいくという。「DABO A.K.A.MR.フダツキ! A.K.A.PLATINUM TONGUE! A.K.A.HITMAN! A.K.A.BIG DICK Bruner!」って10個ぐらい言ってますよ(笑)。そして“MIC CHECK”ですが、(曲を聴きながら)上手いですねぇ……。DABOさんのラップはスムースやし、滑らかすぎるから、凄さを見逃しちゃうんですけど、分析するととんでもないライミングなんですよね。〈マチガイナイ/お前のスケじゃ扱えない/危険人物いざ意見陳述/チョーパンー発新天地進出〉。〈危険人物〉〈意見陳述〉は、もっと強調してもいいぐらいのロングライムなんですけど、それをもったいぶって使ってないんですよね。よくやりがちなのは「なんとかかんとか、危険人物/なんとかかんとか、意見陳述」みたいに。

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