【BUBKA10月号】BOOK RETURN 話題の著者に直撃取材!!vol.34 太田省一「すべてはタモリ、たけし、さんまから始まった」

『すべてはタモリ、たけし、さんまから始まった』の著者・太田省一氏
取材・文=我妻弘崇

ブブカがゲキ推しする“読んでほしい本”、その著者にインタビューする当企画。第34回は、『すべてはタモリ、たけし、さんまから始まった』の著者である太田省一氏が登場。 お笑いビッグ3が作り出した「笑う社会」は、戦後日本の産物だった。80年代から続いた“同質性の笑い”は、社会が変容したことで“相互性の笑い”へとシフトしていく――。

お笑いビッグ3が作り出した「笑う社会」

――本書は、タモリ、たけし、さんまの「お笑いビッグ3」を通じて、約40年にわたる「笑い」の変質について著述されています。なぜ、ビッグ3にフォーカスを絞ろうと?

太田 ビッグ3の活躍が顕著になる80年代は、「笑う社会」が形成された時代でした。以前は、ザ・ドリフターズやコント55号に代表されるように“お笑い=鑑賞物”という価値観が強かった。しかし、漫才ブームを機に、誰もが日常的にボケとツッコミに代表される笑いのコミュニケーションを取り入れるようになりました。社会と笑いがリンクし始めたのがこの時代であり、その象徴がビッグ3。当時、僕は大学生だったのですが、周りでたけしさんのモノマネや口調を真似る人が少なくなかった。芸人たちが作る笑いに対して、自分たちも積極的にそれを取り入れようとした――、言うなれば同質性として笑いが捉えられていく時代でした。

――たしかに70年代までは、真似るにしてもカトちゃんのギャグのように、子どもが模写するような笑いがほとんどでした。ところが、80年代以降になるとツールとしての「笑い」の存在感が大きくなっていきますよね。

太田 面白いだけではなく、「頭の回転が早い」、「センスがいい」などと芸人が評価され始めるわけですね。先日亡くなられた、テレビプロデューサーの澤田隆治さんは、「漫才ブームは自分たちの体験を元にしたネタが多かった」と話されている。それまでは座付きの放送作家が手掛けることが一般的でした。例えば、おまわりさんと犯人という具合に、わかりやすい設定の中で虚構のフィクションとしてお笑いを演じていた。ところが、たけしさんや紳助さんを筆頭に、自分たちのセンスや体験を元にして、笑いを構成していくようになる。言うなれば、芸人がシンガーソングライターのようになった時代ですよね。

――先述されたように「笑う社会」が形成されたことで、笑いを共通項として共に盛り上がる「同質性の笑い」が社会に浸透していく。その象徴が、フジテレビの27時間テレビという指摘は面白いです。

太田 中でも、さんまさんの愛車であるレンジローバーを破壊した事件は、トピック的な出来事。文化人類学に、“ポトラッチの儀礼”という言葉があります。世界を見渡すと、大事なものを皆で破壊するといった趣旨のお祭りをする民族が多い。壊すことでカタルシスを共有し、さらに盛り上がる。意味もなく壊すところに意味が生まれる。部族というのは、まさに同質性の社会です。27時間テレビのレンジローバー破壊事件は、同質性の笑いを象徴した“ポトラッチの儀礼”のように思えるんですよね。80年代くらいまでは、一億総中流という言葉に代表されるように、社会そのものが同質的だったため、そこにテレビが乗っかったとも言える。 しかし、社会のあり方が変化し、格差などが顕在化し始める00年代に入るくらいから、テレビの特性とも言える同質性との間にギャップが生まれていく。

――インタビューの続きは絶賛発売中の「BUBKA10月号」にて!

太田省一
1960年生まれ。社会学者・文筆家。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビと戦後日本、お笑い、アイドル、メディアと社会・文化の関係をテーマに執筆活動を展開。著書に『社会は笑う』『ニッポン男性アイドル史』(以上、青弓社)、『アイドル進化論』『紅白歌合戦と日本人』(以上、筑摩書房)、『SMAPと平成ニッポン』(光文社新書)、『芸人最強社会ニッポン』(朝日新書)、『攻めてるテレ東、愛されるテレ東』(東京大学出版会)ほか多数。

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