R-指定「Rの異常な愛情」ヒップホップにとってのクルーという文化(後編)

「BUBKA8月号」よりサイプレス上野とR-指定
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前回に引き続き、R-指定とサイプレス上野による「クルー」論対談の後編をお届け! ZZ PRODUCTIONと梅田サイファーという、それぞれクルーに所属する二人にとって、グループやユニットとは異なる、ヒップホップ独特の「クルー」という概念は、どのような意味を持つのか!

ヤサ憧れ

――上野くんは出身地の横浜「ドリームハイツ」に集合場所、いわゆる「ヤサ」を持っているよね。“ヤサの詩”という曲ではその住所まで自分でバラしてる(笑)。

サイプレス上野 なんなら住所がプリントされたコーチジャケットとかも作ってるから(笑)。ドリームハイツのヤサは、俺や(ロベルト)吉野だったり、ドリーム出身の奴のためのヤサという感じですね。ZZ PRODUCTIONのヤサは強いて言えば昔はKAZZ-Kの実家。機材があってRECができたんでSTERUSSのレコーディングはそこでやってたし、“マイク中毒pt.2”もそこで録ってて。SD JUNKSTAの最初のEPを録ったのもDJ KAZZ-Kの家なんですよね。

R-指定 マジっすか!

サイプレス上野 みんなでKAZZ-Kの実家の一部屋に集まって。それで録りながら、KAZZ-Kが激怒したりすることも起こりながら(笑)、なんやかんやで作ったのが『SDPEP』。

R-指定 俺らもコッペパンの曲を作ってたのはKOPERUの実家でしたね。梅田サイファーは土曜日に梅田の歩道橋でサイファーしてたんですけど、サイファーが終わってからみんなでKOPERUの家に泊まりに行って、日曜日はそのまま曲作るみたいな。KOPERUのお母さんがご飯持ってきてくれたり。

サイプレス上野 めちゃくちゃいい環境じゃん。家主が激怒したKAZZ-Kの家のRECとは大違い(笑)。

R-指定 いや、一回だけKOPERUが激怒したことありましたよ。コッペパンのメンバーのタマイコウスケが、「RECがうまくいかん! 降りてけえへん!」と言い出して、更にいきなり裸になって全裸でレコーディングし始めたんですよ。そん時はブチギレてましたね(笑)。それから奈良のdiojさんのDFBRっていうスタジオ。梅田の初期作のRECはそこでやってました。あと、ヤサという意味では、実は20~21ぐらいの時に、みんなで部屋を借りたこともあるんですよ。

サイプレス上野 大阪に?

R-指定 そうです。みんなで1人5000円ずつ出して、道頓堀と長堀橋の間ぐらいのとこに狭いワンルームを借りて。

――梅田じゃなくて心斎橋だったんだ。

R-指定 そうそう。そこが704号室やから「フローリング704」とか名前つけて(笑)。基本的にはOSCAが生活しつつ、週末とか平日とかでもライブ終わった後、そこに泊まりに行くみたいな。

サイプレス上野 最高じゃん。

R-指定 結局、就職とかのタイミングでなくなっちゃったんですけど、そういう場所はあったっすね。いまみんなの溜まり場になってんのはCosaquさんのスタジオ。だから「溜まり場あこがれ」はずっとありますね。梅田も東京で動くことが多くなってるから、そん時に集まる場所を東京で作る計画をしてますね。

サイプレス上野 ウチのヤサを全然使ってもらって構いませんけどね。宿泊できるようにしてるんで。

――横浜の外れのドリームハイツまで(笑)。

サイプレス上野 「大阪帰った方が早いわ!」みたいな(笑)。ヤサには昔は俺や仲間が住んでたんだけど、いまは純粋に制作部屋みたいな感じになってるっすね。ヴォーカルブースも作ったんで、そこで若い子たちがRECできるような環境にしてて。ホントに中学生とかも録りにきてるから。ヤサの下の公園で滑ってるスケーターのガキとかが「録りに行っていいっすか?」「じゃあ5000円で1RECな」とか。

R-指定 1REC5000円なら最高に超良心的ですね。上野さんとか、大阪だとHIDADDYさんの「一二三屋」みたいに、若い子たちを先輩方が手助けしてる環境によって、すごく良い循環が生まれてると思う。

サイプレス上野 やっぱり俺たちはどんどん年を取ってくから。それに若い連中とそういう関係を作れるのがそもそも楽しいしね。

R-指定 そこからLeon(Fanourakis)とか若い世代のスターが生まれてきてますもんね。HIDAさんの動きからはTAKA(WILYWNKA)とか。

サイプレス上野 Leonなんか、本当にヤサが劣悪な環境の時からずっと泊まってて。

――今でこそキレイになったけど、劣悪なときに行ったら俺はハウスダストでクシャミが止まらなくなった(笑)。

サイプレス上野 猫の毛だらけ、ゴミだらけ。そこでLeonが寝て、高校行って帰ってきて、またリリック書いてラップして……みたいな、そういう感じだった。鍛えられたよ、Leonは(笑)。

――まだまだ続くインタビューの続きは発売中の「BUBKA8月号」で!

聞き手・構成/ 高木“JET”晋一郎

サイプレス上野|1980年、神奈川県出身。DJのロベルト吉野とともに、サイプレス上野とロベルト吉野のMCとして活躍中。“HIP HOPミーツallグッド何か”を座右の銘に掲げ、“決してHIPHOPを薄めないエンターテイメント”と称されるライブパフォーマンスを武器に人気を集めている。

R-指定|1991年、大阪府出身。Creepy Nuts、梅田サイファーのMCとして活躍中。バトルMCとしても、2012年からの「UMB」3連覇をはじめ、テレビ朝日『フリースタイルダンジョン』での2代目ラスボスなど、名実ともに「日本一」の実績を誇っている。

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