R-指定(Creepy Nuts)、再考「随喜と真田2.0」最低で最高な名盤クラシックをもう一度

――その趣味は初めて聞いたな。

R-指定 集中できるというのもあるんで。『ラップスタア誕生』の審査も二日ぐらいホテルにカンヅメになって、何万と動画見ましたからね。RYUZOさんやT-PABLOW、YZERR、スタッフさんがある程度ふるいにかけたものを見るという方式も提案されたんですけど、そこから外れたとんでもない奴がおるかも知れへんと思って、全部の応募を見たんですよ。

――ニューアルバムの曲にもあるけど、“ばかまじめ”だな~。

R-指定 そこで喉電波を見つけたりしましたからね。今回の“フロント9番”のテイクチェックも、梅田のラブホでやってました。関西のフェスのあと、スタッフさんがホテルを取ってくれたんですけど、キャンセルして「自分でラブホに泊まります」と。そのままエンジニアさんから送られた“フロント9番”のボーカルテイクを聴いて、「この部屋に一番合うのはどのテイクかな。これは悲しすぎる、これは明るい……」ってラブホで確認して(笑)。

――スタジオのスピーカーだけじゃなくて、カーステレオで聴いたり、ラジカセで聴いて鳴りを確認するという話はあったけど、ラブホで確認するのは初めて聞いたわ(笑)。

R-指定 で、随喜と真田に話を戻すと、アルバム制作が残すところ“フロント9番”だけになったタイミングで、大阪で「関西コレクション」に出たんですけど、俺はそのまま梅田のラジオ(AuDee CONNECT・木曜日【梅田サイファー】)に出ることになって。その間が4~5時間空いたんで、会場近くのラブホに入ったんですよ。

――もはやネットカフェに入る感覚でラブホに(笑)。

R-指定 それでプール付きの豪華部屋を借りて、泳いだり筋トレしながら、“フロント9番”の制作に向けて、その内容とも大きく通じる、大阪ブルース系、やしきたかじんとか上田正樹をずっと聴いてて。

――R-指定が1人でラブホテルのプールで泳ぎながら関西弁ブルースを聴いてる……「ILL」という言葉がこれほど似合う光景はないな(笑)。

R-指定 “悲しい色やね”の2007年や2010年とか、バージョン違いまで聴いてますからね(笑)。

――上田正樹の歌い方のクセがどんどんすごくなっていくやつだ。

R-指定 そうそう。フェイクとかタメがすごくなっていって最高なんですよ。でも、流石にお腹いっぱいになって。

――〈大阪ベイブルース〉の過剰摂取(笑)。

R-指定 それで気分転換で聴いたのが随喜と真田だったんですよね。なんか、韻をガッツリ踏んだ曲が聴きたくて。

――世の中にはもっとちゃんと上等なメッセージで韻を踏んだ曲はあるよ!

R-指定 とにかく最低な曲を聴きたくなったんでしょうね(笑)。それで制作も終わり、実家でオフを過ごすタイミングで、随喜と真田をもう一回聴き直してみようと。それで「この人ら、ラップうまぁ!」と改めて衝撃を受けて、いま随喜と真田モードなんですよね。もはやマイカデリックまで聴き直してますから。

――令和4年にマイカデリック聴いてるのRくんだけじゃない?ダースレイダーと『月刊RAP』を作ってた俺でさえ聴いてない(笑)。

R-指定 でも、随喜と真田の『FESTA E MERDA DI TORO』は、とにかくとんでもない完成度やなって改めて思いましたね。一曲目の“NICE GO!!!”はレッド・ツェッペリンの“移民の歌”がサンプリングされてて、ノリがめちゃくちゃ良いんですけど、ここから二人のラップがとにかく上手い。アルバム通してず~っと上手くて、ICE BAHNとの“ライムボカン”で韻を踏みまくって、“☆T.O.B.E.R.A☆”で史上最低最悪のリリックを書いて、最後は“家族ゲーム”と“終わりの会”でグッとこさせるという。すごいアルバムやな、めっちゃ完成度高いわ、と改めて思いました。

――インタビューの続きは発売中の「BUBKA10月号」で!

聞き手・構成/ 高木“JET”晋一郎

R-指定|大阪府出身のラッパー。高1から梅田サイファーに通いバトルやライブ活動を開始。2012年からMCバトル全国大会UMBで3連覇を成し遂げ、『フリースタイルダンジョン』の初代モンスター、そして2代目ラスボスを務める。現在はDJ松永とCreepy Nutsとして活動しながら、バラエティ番組やテレビドラマなど多方面でも活躍中。

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