2023-12-21 18:30

『玉袋筋太郎の闘魂伝承座談会』より新間寿のインタビューを公開!

『玉袋筋太郎の闘魂伝承座談会』より堀江ガンツ、玉袋筋太郎、新間寿、椎名基樹
『玉袋筋太郎の闘魂伝承座談会』より堀江ガンツ、玉袋筋太郎、新間寿、椎名基樹
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レジェンドたちが“闘魂”の炎のもとに集う一冊、『玉袋筋太郎の闘魂伝承座談会』が好評発売中。掲載内容の新間寿のインタビューより一部をお届けします。(※記事は2022年1月に収録の内容です)

「新日本の会場で初めて超満員になったのは、旗揚げの大田区でもなければNETのテレビ放送第1戦でもない。猪木vs小林の蔵前なんですよ」(新間)

堀江ガンツ(以下、ガンツ) 玉さん! 今回は新日本プロレスが旗揚げ50周年を迎えたということで、ゲストは“過激な仕掛け人”新間寿さんに来ていただきました!
玉袋筋太郎(以下、玉袋) やっぱり新日本の歴史を語る上で絶対に欠かせない人だからね。
新間寿(以下、新間) そのわりには新日本からの連絡がないね。
椎名基樹(以下、名) あっ、そうなんですか。
新間 新日プロの歴史を語るんだったら、猪木vsストロング小林戦、猪木vsモハメド・アリ戦、そしてIWGPを実現させたのは誰なのかっていうことですよ!
玉袋 よく存じ上げております(笑)。
新間 こないだ亡くなったストロング(小林)なんかも新日本の大功労者だけれど、お通夜に行ったのは私だけだったね。
玉袋 そうでしたか。
新間 あの人はあれだけ一世を風靡したレスラーなんだから、何かもうちょっとマット界全体で送り出してあげたかったけどね。
玉袋 猪木vsストロング小林なくして、その後の新日本はないですよね。
新間 そうですよ。先日、「よし、いまの新日プロの試合を観てみよう」と、CSのテレ朝でやっている番組を観たんだ。そうしたらジュニアのタイトルマッチをやっていたんだけど、技はうまいし、動きもいい、試合運びもスムーズだ。ただ、あとひとつ、ほしいんだよね。一方でストロングの訃報が報じられたとき、東スポの一面になった猪木vs小林の最後のジャーマンスープレックスの写真。最後の力を振り絞り、自分の両足が持ち上がりながら首だけで支えてジャーマンにいった、あれこそがプロレスなんだと私は思うわけよ。
玉袋 いまのプロレスが高度だとわかりつつ、ボクもそう思っちゃうんですよ。
新間 いまのプロレスもたしかにプロレスなんだけど、道場で技の攻防の練習をしているんじゃないか?
椎名 ジュニアなんかだと、特に切り返し、切り返しですもんね。
新間 昔の道場はスクワットとか基礎体力運動以外は、もう腕を取る、足を取るのスパーリングですよ。藤原(喜明)とキラー・カーンなんか、(人差し指をバツ印に交差させながら)仲がいいもんだから、練習をやりながらケンカになったりね(笑)。
玉袋 組長とカーンさんは仲がよくて有名ですからね(笑)。
新間 グラン浜田なんて、盲腸が破裂する寸前でも山本小鉄に「道場に来い!」って言われて。あのまま練習させてたら浜田を殺してたよ。
ガンツ 盲腸になろうがなんだろうが練習は休めないと(笑)。
新間 それが新日本の道場だったんですよ。
玉袋 ボクらもその道場に憧れたわけですからね。
新間 ただ、旗揚げ当時の新日プロはテレビ放送もないし、本当にお客が入らなかった。じゃあ、昭和の新日本の会場で初めて超満員になったのはどこかと考えると、旗揚げ戦の大田区体育館でもなければ、NETのテレビ放送第1戦の宇都宮スポーツセンターでもない。やはり猪木vsストロング小林の蔵前国技館なんですよ。
ガンツ 旗揚げから約2年間も観客動員に苦しんだんですね。
新間 視聴率だって、猪木さんは「俺と坂口が出ればすぐに20パーセントはいく」と言っていたんだけど、実際は13パーセントあたりをウロチョロしていたわけ。
椎名 観客動員だけでなく、視聴率も日プロ時代のようにはいかなかったわけですね。
新間 それで私は旗揚げ当初はまだ新日プロの社員ではなくて、営業の手伝いをしていたんですよ。「熊谷と藤岡の営業を頼むぞ」と言われたもんだから、福田(赳夫=第67代内閣総理大臣)先生に頼んで福祉団体協議会の責任者と一緒に、新聞販売店、魚屋、八百屋なんかに1軒1軒頼んでまわってね。
玉袋 どぶ板ですね。
新間 そうやって毎日顔を出すわけ。それでお金も工面しなきゃいけないっていうときは、知名度のあるトヨ(豊登)さんと一緒にまわってお願いに行ってね。あるとき、練馬の大地主を紹介されて、お金を出してもらえるように日参したんだけど、「新間、おまえとかトヨさんの顔は見飽きたよ。倍賞美津子を連れてこいよ。そうしたら貸してやるよ」って言われたんですよ。
椎名 そういうことを言ってくるんですね(笑)。
新間 そうしたらこっちも「社長、連れてきたら500万ですか? 1000万ですか?」って聞いたら、「最初は500万だな」って言われてね。で、「じゃあ、連れてきますから500万をお願いします!」って言って。次のときは倍賞さんも一緒に行ってくれて、倍賞さんが500万円を借りてくれたんですよ。
玉袋 大女優がそういうことまでやっているのが凄いですよね。

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「新間さんが青梅にある小林さんの家まで日参したというのが凄いですよ。しかもホンダ360っていうちっちゃなクルマに乗って(笑)」(玉袋)

『玉袋筋太郎の闘魂伝承座談会』より玉袋筋太郎
『玉袋筋太郎の闘魂伝承座談会』より玉袋筋太郎

新間 だから倍賞美津子さんという人は、アントニオ猪木のためにいろんなことをやってくれたんですよ。あるときは宣伝カーのウグイス嬢をやったり、切符も売ってくれたりしてね。倍賞さんは新日プロのテレビ放送獲得にも一役買ってくれたから。
玉袋 そうなんですよねぇ~!
新間 私は新日本に入る前、テレビ朝日の三浦甲子二さんにけっこうかわいがってもらっていたんですよ。それで新日本で仕事をするようになったとき、三浦さんに「NETで後援をお願いします」って言ったら「坂口と一緒なら応援してやる」って言われてね。
ガンツ NETは放漫経営の日プロを見限って、猪木さんと坂口さんを合体させて新日本に中継を鞍替えしたわけですよね。
新間 ただ、あのとき坂口さんは馬場さんとの関係もあったから、日プロを辞めて全日本に行く可能性もあった。それでどちらを選ぶかってとき、坂口さんの奥さんと倍賞さんが仲良かったわけ。馬場さんの奥さんは怖かったって(笑)。
玉袋 坂口さんの奥さんが、元子さんより倍賞さんを選んだと(笑)。
椎名 その気持ちはわかります(笑)。
新間 そういうことで猪木さんと坂口さんが合体して、新日本にもテレビがついたんですよ。
玉袋 それぞれの奥さんまで巻き込んでいるところがおもしろいですね。
新間 それで私は嘱託みたいな感じだったんだけど、坂口さんが入る前に正式に新日プロに入社して、営業部長という肩書きがついてね。要はそこからカネ集めをしたわけですよ。
椎名 重要な仕事ですね。
新間 山本小鉄なんかは、東村山のナカムラパンがスポンサーだってことで、「あそこから何千万でもすぐに引っ張ってこれる」って言ってたけど、あの人は1円も引っ張ってきてないよ。
玉袋 そうなんですね(笑)。
新間 だから山本小鉄は口ばっかり。それでいて「俺は猪木さんと一緒に新日本を始めたから、権利はフィフティ・フィフティだ」って言うわけ。だから猪木さんがキャデラックに乗ったら、小鉄ちゃんもキャデラックに乗ってね。
椎名 山本小鉄さんのキャデラックのエンジン音を聞くだけで、若手時代の前田日明が震え上がったという有名なエピソードがありますけど、そういう理由でキャデラックに乗っていたんですか(笑)。
新間 猪木さんと張り合ってどうするんだって。そのとき、営業部員が小鉄ちゃんをいさめたんだよ。「山本さん、猪木さんがキャデラックならクラウンにしなさいよ」って。
玉袋 ごもっともです(笑)。当時のCM「日本人だったらいつかはクラウン」ですもん。
新間 私なんかもそう思うもんね。やっぱり新日本プロレスの看板はアントニオ猪木なんだから。で、あの頃は会社の営業車としてトヨタのコロナかなんかを買ったんだけど、私が出張で秋田に行くとき、そのクルマに乗ろうと思ったらないわけよ。それで「おい、あのクルマはどうした?」って部下に聞いたら「(猪木)啓介さんが乗って行っちゃいました」って言うわけ。「なんで啓介が乗って行くんだよ。あれは会社のクルマだろ」って言ってね。
ガンツ なぜか猪木さんの弟の啓介さんが、会社のクルマを私用で乗っていたわけですか(笑)。
新間 仕方がないから、私はホンダ360で秋田まで行ったよ!
玉袋 あのちっちゃいクルマ。あれで秋田まで行くのは大変ですよ(笑)。
新間 宇都宮あたりで雨が強まったらワイパーが飛んじゃってさ。だから当時の新日本は、猪木さんの身内が勝手なことをやったりとかが多かったのよ。
玉袋 パリダカを超えてますよ!(笑)。
ガンツ で、そんな状況だった新日本が一気に業界トップに駆け上がるきっかけになったのが、猪木vsストロング小林なわけですよね。
新間 あの試合を実現させるために、私は誰にも言わずに3カ月間、ストロング小林さんの家に通ったからね。
玉袋 やっぱりそこが凄いですよね。新間さんが青梅にある小林さんの家まで日参したという。
新間 コロナに乗って行こうと思ったら、また啓介が勝手に乗って行ってたのでホンダ360に乗ってね。
玉袋 青梅にもホンダ360だったんですか(笑)。
新間 猪木さんにも告げず、相談したのは東スポの櫻井康雄とゴングの竹内宏介だけ。私が小林邸に通って2カ月目くらいに櫻井が東スポの井上(博)社長に話して、それで私が呼ばれたんですよ。「新間くん、これは実現できるのか?」って聞かれて「絶対にやります!」と答えてね。そうしたら「じゃあ、やるときには東スポを10円値上げして全面バックアップするから、なんとしてでもこれをやれ」って。
椎名 なんちゅう話だ。凄いですね(笑)。
新間 それで丸2カ月が過ぎた頃にやっと小林さんがオッケーしてくれて、そこで猪木さんに初めて話したんですよ。「えーっ!? 本当か? おまえ、あれは俺と似てるって言われてるんだぞ」なんて言ってね(笑)。
玉袋 そうなんですよ。ウチのお袋はいつも間違えてましたよ(笑)。
椎名 ボクも小さい頃は見分けがつかなくてわからなかったですよ。アゴともみあげのイメージで(笑)。

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『玉袋筋太郎の闘魂伝承座談会』より新間寿
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