2022-07-25 19:00

清原和博が野球人としてもっとも輝いていた時代を読む~プロ野球死亡遊戯があえて“令和の夏”に書きたかった話(著/中溝康隆)

7月21日発売『キヨハラに会いたくて 限りなく透明に近いライオンズブルー』(白夜書房)より

プロ入り直後、月の小遣いは5万円。無駄遣いをしたらあかんよと母親がうるさくて……ってお年玉の使い道を管理される俺らと変わらない。ニックネームは84年に三冠王を獲得した阪急の大砲ブーマーとかけて、めちゃくちゃベタな“キヨマー”。野暮ったいけどなんかいい。そう、晩年の番長キャラに対する恐怖感ではなく、若きアイドルキヨマーにあったのは圧倒的な親近感だ。なにせ初めてのオールスター戦で後楽園球場へ行く際は、所沢の山奥の寮から西武電車で都心まで出て、地下鉄に乗り換え球場へ向かったという。maxellのカセットテープUDシリーズの広告が目立つアイドル雑誌『週刊平凡』86年5月2日号には、関西遠征の際に身長186cmのキヨマーが朝10時に合宿所を出て窮屈そうに電車を乗り継ぎ、車内で写真週刊誌『FOCUS』を熟読しながら集合場所の東京駅へ向かう様子がリポートされている。いやいや、それ俺らが埼玉の田舎から池袋へ遊びに行くのと同じ行動パターンだよ!

小泉今日子の「なんてったってアイドル」がCM曲の富士フイルム全自動カメラ「カルディア」を首にぶら下げたギャルたちが、宿舎にまでつめかけた86年夢の球宴。ホームランダービーに出場した18歳11カ月の清原は10スイング中7本をスタンドに放り込むが、その際にベンチに座る落合博満や山田久志ら先輩たちが笑顔で背番号3にちょっかいを出す。敵軍の山本浩二やムッシュ吉田監督ですら楽しそうに怪物クンのスイングを見つめ、実況アナウンサーも「清原ひとりのために今日3万の観衆が入ったようですね~」なんて喜んでいる。

かと思えば、第2戦で遠藤一彦から高卒ルーキーでは史上初の特大アーチをかっ飛ばしてMVPに輝くと、ヒーローインタビューで空振り三振に打ち取られた江川卓のことを聞かれ、「まあジャイアンツのユニフォームを着てるピッチャーにはね、絶対負けたくなかったんですが」と愛嬌たっぷりに答えてみせる懐の深さもある。なお当時は5誌もの写真週刊誌が乱立し、もちろん各社から徹底マークされたが、「うん、一度は載るやろな。でも、フライデーなんかメじゃないよ」なんつって笑い飛ばす規格外の18歳。隙だらけでどこか憎めないスゴイ奴。あの頃、キヨマーは“国民の弟”だった。

キヨハラに会いたくて 限りなく透明に近いライオンズブルー
▼Amazonで購入

Twitterでシェア

関連記事

BUBKA RANKING17:30更新

  1. 猪木と馬場、二人の神を師に仰ぐ双頭のサムライ・越中詩郎が語る
  2. SKE48荒井優希、山下実優選手とのシングルマッチ!試合に集中しメンバーの存在は「すっかり忘れていました」
  3. SKE48荒井優希選手、“サソリ固め”を初公開も
  4. SKE48荒井優希、初対戦のアジャコングに“一斗缶攻撃”も食らい完敗
  5. SKE48荒井優希選手が辰巳リカ選手とのシングルマッチで大熱戦
  6. SKE48荒井優希、人生初の“ビンタ”に気合!!久々のシングルマッチ決定に「自分のできることを全部出せたらベスト」
  7. 清原和博が野球人としてもっとも輝いていた時代を読む~プロ野球死亡遊戯があえて“令和の夏”に書きたかった話(著/中溝康隆)
  8. 天龍源一郎がレジェンドレスラーについて語る!ミスタープロレス交龍録 第47回「高山善廣」
  9. 華麗なるスケート衣装の世界!本田真凛ほか収録カットを公開
  10. SKE48荒井優希、バトルロイヤル参戦も「まだまだ実力の差はすごい」
  1. 乃木坂46中西アルノ「ますます楽しくなっている…緊張はしますけど」【Spicy Sessions】
  2. 櫻坂46『そこさく』総力特集!表紙&巻頭グラビアさらに関係者インタビューも
  3. “歌い手”中西アルノの成長ドキュメント…『Spicy Sessions』4月・5月のゲストが明らかに
  4. 乃木坂46久保史緒里、まさかの身内からの暴露!プロ野球ライフの悩みを語る
  5. 高山一実、美谷間チラり…ウエディングドレス姿で『ゼクシィ』初表紙を飾る
  6. 櫻坂46田村保乃、生活感あるグラビアショット!1年半ぶり表紙&巻頭グラビアを飾る
  7. 乃木坂46山下美月「ちょっと恥ずかしくて」メンバーにプレゼントするのをためらう
  8. 櫻坂46谷口愛季、「ラヴィット!」で『堂々と不正したあいりたん面白い』と評価爆上げ!新たなバラエティ担当に名乗りを上げる!
  9. 乃木坂46菅原咲月、でこ出しセンター分けの舌ペロ笑顔にファンはダブルノックアウト
  10. 猪木と馬場、二人の神を師に仰ぐ双頭のサムライ・越中詩郎が語る